今回はマトリクスについて簡単に説明しておきます。
特に今回はPAを行う上でのマトリクスについての解説です。
あの大好きなアーティストのコンサート…
マトリクスとは何かというと、とあるコンサートを妄想して考えてみましょう。
ライブに行っているのですから、当然会場からMixした音が流れています。
会場に行って無音だったら暴動もんですもんね。
これは当たり前に想像出来ると思います。
もっと妄想してみましょう。
最近だったら同時配信などもしていたりしますね。
これは、配信用にMixし直していたりもしますが、簡易的な配信の場合はPAと同じ音が流れている時もあります。
そんな場合ですが、Mixしている音は「会場のスピーカー」と「配信配信用回線」の2つに分けたくなりませんか?
この分ける役割を持っているのがマトリクスと呼ばれる機能です。
もう少し想像をしてみましょう。
その当日のMix…家に帰ってから冷静になってもう一度聴き直して、後日のコンサートをもっと良くするための記録をとりたくないですかね…
あとは…楽屋にいるアーティストは会場の裏に回り込んで、裏口の扉を超えて、楽屋の扉を通過した間接的な音を頼りに出番を待っているのでしょうか。
実際そんなことはなくて、会場で流れている音と同じを分岐して楽屋でも聞ける様にしていたりします。
もう少し言うと、他のいろいろな所にいるスタッフたちもこの会場と同じ音を聞きたいですし、お客さんも待っている間BGMなど聞こえてきたりしますよね。あれも会場の音を聞いていたりします。
至る所で、コンサート会場のコンソールでMixされた音を聞いていたりするのですが、これを全て別々に用意していたらとても大変なので、マトリクスという機能を使用して分岐していたのです。
基本的にはコンソールでMixした音はまずコンソールのステレオフェーダー、またはマスターフェーダーと呼ばれる所に集められます。
そのアウトプットをそのまま会場のスピーカーから出せば本番の音だけを考えればOKなのですが、実際は上記のように会場のスピーカー以外からもその音が求められるので、マトリクスで分岐をするという事になります。
各コンソールによってやり方は少しずつ違ったりはしますが、この機能を使用する前提で全て用意を進めていくクセをつけておきましょう。
一つ例を出しておきます。
コンソールでミックスした音をヘッドホンで聞いてみたら、とても良いミックスに仕上がっていました。
ただ、実際にヘッドホンを外して会場の音を聞いてみたら、なんかボワボワしています…
これはまずいなとイコライザーを使用して音色を調整してみました。
なんととっても会場は素敵な音に!めでたしめでたし!!!
となってほしかったのですが、今度は配信チームからこんな意見が…
「なんか音がスカスカなんだけど…」
!?
さっきまではヘッドホンで良い音がしていました。
ヘッドホンで聞いているので、配信でも同じ様に聞こえるはずです。
それで良かったのに…会場の音をスッキリさせるためにイコライザーでこもっている部分を削ってしまったのでヘッドホンで聴き直してみたら確かにスカスカに…
これ、同じ素材に対して処理をしてしまったらどちらかが犠牲にならざるを得ないですよね。
なので鉄則として、最初からマトリクスで分岐して、「メインスピーカーアウト」と「配信アウト」を別々にしておきます。
それでメインスピーカーのイコライザーをいじってあげれば、別々に分岐されているわけですから、配信に影響なく会場の音も調整出来るわけです。
※一応捕捉しておくと、これはミックスで個別の音を調整したわけではなく、あくまでも分岐した後のイコライザー、厳密に言うと例えばGEQ(グラフィックイコライザー)などを調整している話になります。
この機能を使用したい場合ですが、これまでに書いたような規模にならないと使用しないだろうとマトリクス機能があるものとないものがありますので、少しだけ例を挙げておきます。
例えば下記のMakieのコンソール(1642VLZ4)クラスではマトリクスという機能は付いていません。
これはアナログコンソールだから付いていないわけではなく、例えばSoundcraftのGB4 32chにはありますが、チャンネル数が全然違いますね。
これはVLZ4が悪いよ、という話では全然なくて、それぞれの目的に合わせて機材をセレクトしていく事が大切という事でもあります。VLZ4サイズじゃないと置けない場所の仕事だって全然あるんです。
とりあえずですが、マトリクスについて、考え方が沁みついていくと良いなと思います。
よーーくやっちゃうんだ、分岐し忘れ。
大体、いや〜なタイミングでそれに気付く事になるわけです。
最初から
やっておこうね
マトリクス
心の俳句。
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